~その271~ 【エコーチェンバー現象】に陥っていないか?
こんにちは!
『魅せる!感じる!』担当講師、リスペクトマインドの武内臣介です。
ファンキースリーのPSコラムでの投稿は今回がラストです。
よって、業界全体のこととして、【エコーチェンバー現象】について書こうと思います。
インターネットの情報に関して、かれこれ10年以上前から総務省も警鐘?を鳴らしているというか、「このような現象があることを知って欲しい」という感じで、情報通信白書に書かれています。
●エコーチェンバー現象とは?(情報通信白書から引用)
ソーシャルメディアを利用する際、自分と似た興味関心をもつユーザーをフォローする結果、意見をSNSで発信すると自分と似た意見が返ってくるという状況を、閉じた小部屋で音が反響する物理現象をたとえたもの。
●エコーチェンバー現象の何が問題なのか?
これは、「多数の人が同じ意見を支持していると、それを無条件で信じてしまう人が出てくる」という点です。
実は、主体的に情報収集をしているつもりが、自分と同じような意見を持つところからの情報収集に偏り、反対意見などを得る機会が減ることで『いろんな視点からの考察が知らないうちに出来なくなっている』というものです。
●これには、フィルターバブルが関係している
更に、『フィルターバブル』というものがエコーチェンバー現象を強化してしまっているのですが、これは「アルゴリズムによってネット利用者個人の検索履歴やクリック履歴を分析して、個々のユーザーが見たい傾向の情報が優先的に表示される」ことで、結果的には自分の価値観や考え方のバブル(泡)の中に孤立するというものです。
簡単に言えば、好む傾向の情報にしか触れなくなり、更に偏った見方しか出来なくなることと、偏った価値観や考え方を強化してしまうというものです。
◆業界人は、業界人から情報収集をしているという当たり前
業界内で情報発信しているSNSやサイトはとても有益な情報がたくさんあります。
私が書いているコラムも同様に、業界内の情報になります。
これはこれで、有益な情報収集ツールとして問題は無いというよりも、業界内でもいろんな方々の意見があるので非常に参考にするべきものです。
しかし、その情報の中でも「多くの人がそう思っている」というものを一方的に信じ込むのは危険だと言えます。
そこで、『自分自身がエコーチェンバー現象に陥っているのではないか?』という視点で自己を振り返ることが重要になります。
また、フィルターバブルのように、アルゴリズムによって偏った傾向の情報に触れていると、自ら選択した情報では無いので偏りを更に強化して、最終的には盲目的になり思考停止に陥ります。
この場合も、あえて似たような傾向のものとは異なる情報を意図的に収集して、いろんな角度から物事を考えるようにすることが重要になります。
◆円安って本当に悪なの?
ちょっと余談ですが、テレビでは「円安で物価が上がり庶民が大変」ということを、しつこいくらい毎日飽きもせず報道しています。
このような情報に触れ続けると、メディアという存在のハロー効果で、円安が悪だと思い込むようになります。
細かいことはコラムの趣旨とは異なるので書きませんが、GDPは円安(自国通貨安)の時に伸びるので、円安が問題なのではなく『国内回帰と内需拡大』をしていないことが問題です。
(GDPを上げてきた国は、自国通貨安のタイミングで国内投資を増やし、GDPが上がって増えた税収を国民に還元し、民間消費と企業投資を国内に増やすことをやり景気を上向かせるのが正当な考え方です)
◆有名な人が言ったことは本当に正しいのか?
ハロー効果に触れましたが、エコーチェンバー現象だけでなく、ハロー効果にも気を付ける必要があります。
これも、業界全体の意見や考え方が偏る方向になります。
有名な人の意見や考えは、優秀だから有名になっているので大いに参考にするべきですが、あくまでも、『自店の営業において、どのようにいろんな情報を応用するか』を考えることが大切です。
私が書かなくても、そのように実施して来ていると思いますが、「他のお店も同じだから自店も同じで大丈夫」という安心感ではなく、「本当にお客様にとって好ましい店舗づくりになっているか?」が重要です。
◎おわりに
大多数の意見には安心感があります。
情報収集は、安心感を得ることが目的ではなく、あくまでも自店を良くすることが目的なので、耳に痛い情報ほど意図的に収集して、自店に活かしていくことが大切です。